社会課題解決の鍵を握るオープンイノベーション戦略
コラム
2024/03/16
オープンイノベーションとは?
今日の世界が直面する課題は、気候変動、貧困、紛争、パンデミックなど、複雑で深刻なものばかりです。これらの社会課題に立ち向かうには、従来の発想や取り組みだけでは限界があります。そこで注目されているのが、「オープンイノベーション」の考え方です。
オープンイノベーションとは、企業や組織の内外にあるあらゆる知的資産を活用し、革新的な製品やサービスを生み出そうとする動きです。社内の知見だけに頼るのではなく、大学、スタートアップ、市民団体など、多様な主体との協働を通じてイノベーションを実現しようとするアプローチなのです。
Tokkyo.ai open innovation マーケットプレイスは解決してほしい課題を持った企業や団体と、それを解決する能力を持った企業や団体をつなげるためのプラットフォームです。
なぜオープンイノベーションが社会課題解決に有効なのか
なぜオープンイノベーションが社会課題解決に有効なのでしょうか。その理由の一つは、社会課題が複合的で広範囲にわたるものだからです。例えば気候変動は、エネルギー、交通、農業、林業など、あらゆる分野に影響を及ぼします。こうした複雑な問題に対処するには、様々な専門家が協力し合う必要があります。
医療分野でも同様です。新型コロナウイルスのパンデミックに際し、ワクチン開発には製薬企業はもちろん、大学の研究室、バイオベンチャー企業などが連携し、オープンイノベーションを実践しました。結果として、わずか1年余りでワクチンが実用化されたのです。
もう一つの理由は、オープンイノベーションが社会の叡智を結集し、新たなアイデアを生み出すからです。企業の内部者だけでなく、ユーザーや市民を巻き込むことで、斬新な発想が次々と生まれます。例えばフィンランドの町ミイノでは、持続可能な社会をつくるために、町の未来構想を市民と一緒に練り上げています。
企業の内部にとっての有用性
オープンイノベーションは社会課題解決に有用であるとともに企業にとっても良い影響をもたらします。
一つは多様な視点を取り入れることによる企業内部のイノベーション加速です。閉じた組織の中では発想が固定化されがちですが、オープンイノベーションで異なる価値観や発想を持つ人々を巻き込むことで、企業内部からも新しい気づきや斬新なアプローチが生まれやすくなります。
二つ目は開発コストと時間を削減できることです。自社だけでの開発に比べてオープンイノベーションでは基礎研究や試作品開発の段階から、外部の知見やリソースを活用できるからです。
さらに新規事業分野への参入機会を創れるという利点もあります。新事業分野に参入したいと考えたとき、自前の知見だけでは難しい場合があります。オープンイノベーションによって得た発想や他社とのアライアンスを通じてリスクを抑えながらの新規参入が可能になります。
このようにオープンイノベーションは、多様な主体による真のコラボレーションを可能にします。社会課題解決には、これまでの個々の取り組みを超えた力強い連携が不可欠なのです。
企業や自治体、NPOなどが、内部の知恵に頼るのではなく、幅広いネットワークを構築し、オープンな形でイノベーションを推進していく。そうした戦略こそが、複雑な社会課題に対処し、より良い未来を切り拓く鍵を握っているのではないでしょうか。
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