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組織の外部知見活用が成功の鍵となる理由

コラム

2024/03/16

オープンイノベーションとクローズドイノベーションの違い

 

オープンイノベーションとクローズドイノベーションは、イノベーションを生み出す方法の違いを指します。

 

クローズドイノベーション(Closed Innovation)は、従来の手法で、企業は内部の研究開発部門だけに頼ってイノベーションを行うモデルです。新製品やサービスのアイデアは自社内で生み出され、自社内の資源のみを活用して商品化されます。知的財産権は自社内に確保され、外部との連携は限定的です。

 

一方、オープンイノベーション(Open Innovation)は、企業が外部の知識やアイデアも積極的に取り入れながらイノベーションを行うモデルです。アイデアの源泉は社内外を問わず活用し、外部の技術や人材も積極的に活用します。また、自社で生み出した未活用の知的財産は外部にもライセンス供与するなど、イノベーションのプロセスを内外で柔軟に行います。

 

オープンイノベーションの利点は、限られた内部資源に頼らずに幅広い知識を活用できること、コストを抑えられること、スピード感があることなどが挙げられます。ただし、知的財産管理が難しくなるなどのデメリットもあります。状況に合わせてオープンかクローズドかを使い分ける必要があります。

 

外部知見を取り入れるためのオープンイノベーション

 

組織が長期的に成功を収め続けるには、イノベーションが欠かせません。しかし、これまでの閉じた発想では限界があり、社会の急速な変化に対応することが難しくなっています。そこで注目されているのが、オープンイノベーションを通じた外部知見の活用です。

 

組織外の多様な視点や専門性を取り入れることで、新たなアイデアが湧き、革新的な製品・サービスが生まれる可能性が高まります。特に、気候変動や感染症、格差の拡大といった複雑で深刻な社会課題に立ち向かうには、オープンイノベーションは強力なアプローチとなります。

 

オープンイノベーションの利点

 

オープンイノベーションの利点は、まず課題そのものに対する理解が深まることです。企業の目線だけでなく、市民、NPO、専門家など、課題に直接関わる多様な主体の声に耳を傾けることで、本質的な問題の所在が見えてきます。

 

次に、新しいアイデアが次々と生まれてくることが期待できます。それぞれが持つ独自の視点から、斬新かつ実現可能性の高いソリューションが提案されるからです。多様性と創造性が刺激し合うことで、イノベーションは加速します。

 

さらに、企業や組織の外部にいる優秀な人材の知見を活用できるメリットもあります。ベンチャー企業の創業者、大学の研究者、異業種のプロフェッショナルなど、常に最先端の知識を持つ人々から学ぶことができます。

 

以下は、日本企業におけるオープンイノベーションの成功事例の一部です。

 

1.花王 (株式会社ヘルスケアシステムズ x 花王株式会社):

皮脂RNAを活用した郵送検査サービスの共同開発を行い、新規領域での事業立ち上げに成功しました。

2.日本航空 (株式会社みんなのごはん x 日本航空株式会社):

国際線機内食の共同開発を実施し、多様な顧客のニーズに対応しています。

3.富士フイルムシステムサービス (株式会社JX通信社 x 富士フイルムシステムサービス株式会社):

AI技術を活用した画像認識アプリを共同開発し、認知症サポートに取り組んでいます。

 

一方、リスクも存在します。外部との協業では情報漏洩の危険性や、知的所有権の帰属をめぐるトラブルが生じかねません。また、アイデアを実現するための全社的な合意形成も難しくなります。

 

しかし、こうしたリスクを上手く管理できれば、オープンイノベーションを実践する意義は大きいはずです。組織内だけの知見に閉じこもるのではなく、常に外部の新しい知を取り入れ、柔軟に自らを進化させていくことが、時代に合った賢明な選択なのです。

 

Tokkyo.ai open innovation マーケットプレイスはエンタープライズセキュアであり、カスタマイズ可能で管理された知財契約を備えているため、外部のイノベーションから得られるソリューションはすべて個々のものになります。

 

人類が直面する社会課題は複合的で深刻です。その解決に向けて、多様なアイデアと専門知識を結集し、対話を重ねながらイノベーションを生み出していく。オープンイノベーションは、そうした取り組みを体現するものであり、組織の持続的成長と社会の発展に大きく寄与するはずです。

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