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課題はビジネスチャンス! オープンイノベーションの勝利パターン

コラム

2024/03/15

オープンイノベーションのビジネス

社会が直面する深刻な課題は、実はビジネスの大きな機会になり得ます。気候変動対策、高齢化、貧困問題など、取り組むべき課題が山積しています。しかし、こうした課題を前向きにとらえ、革新的なソリューションを生み出せば、新たな事業が生まれるはずです。

そこで鍵を握るのが、オープンイノベーションです。経営資源に限りがある中小企業では、自前主義では限界があります。外部の多様な知見を取り入れ、積極的に連携することが成功への道となります。

 

オープンイノベーションの成功例 

オープンイノベーションの成功例として、以下のようなケースが挙げられます。

 

【プロクター・アンド・ギャンブル】

大手消費財メーカーのP&Gは、2000年代初頭から「Connect + Develop」と呼ばれるオープンイノベーション戦略を推進してきました。これまで内製主義が強かったP&Gですが、社外の優れたアイデアを積極的に取り入れることで、イノベーションを加速させています。

 

具体的には、社外から新製品のアイデアを公募し、有望なものを買い取って商品化する「イノベーターズ・チャレンジ」を実施。また、社外の個人発明家やベンチャー企業から特許を購入するなどして、革新的な技術を取り入れています。

 

LEGO

デンマーク玩具大手のレゴは、顧客を巻き込んだオープンイノベーションで有名です。レゴ・アイデアというウェブサイトで、顧客から新しいレゴセットのアイデアを募集しています。1万票を超えたアイデアは、レゴ社が商品化を検討するというわけです。 

このように一般から広くアイデアを募ることで、市場のニーズに合ったヒット商品が生まれています。「レゴ・ムービー」シリーズに登場するユニークなキャラクターなども、このプロセスから生まれたものだと言われています。

 

GE航空宇宙】

GEの航空機エンジン事業部門は、世界中の個人発明家やベンチャー企業から技術アイデアを募集するプログラムを実施しています。毎年6,000件以上の提案が寄せられ、うち100件程度が詳細な審査対象となり、有望なものは実際にGEが導入しています。 

この取り組みにより、主力製品の航空機エンジンに多数の革新的な技術が取り入れられてきました。外部から新鮮なアイデアを持ち込むことで、高い技術力を備えたGEでさえ、イノベーションを継続できるわけです。

 

このように大企業でも中小企業でも、積極的にオープンイノベーションを活用することで、様々な分野で新たな価値創出につながっているのがわかります。社内の知見に囚われずに広く外部の知恵を取り入れることが、持続的なイノベーションにとって極めて重要なのです。

 

オープンイノベーションの成功パターン

 これらオープンイノベーションの成功事例から、以下の共通の要因が見て取れます。

 

1.経営トップのコミットメント:

   オープンイノベーションを企業の中核戦略に位置付け、経営トップ自らがリーダーシップを発揮していることが大前提となっています。P&Gの事例でも、CEOが自ら「Connect + Develop」戦略を主導し、社内に浸透させたことが成功の鍵でした。経営陣が本気でオープンイノベーションに取り組む姿勢が不可欠です。

 

2.社内文化の転換 :

これまでの閉じた発想から脱却し、外部の知恵を積極的に取り入れる姿勢が企業文化として根付いている点が重要です。GELEGOなどは、長年にわたり社内の意識改革を進め、社外のアイデアを喜んで受け入れる風土を醸成してきました。ややもすれば守りの姿勢になりがちですが、開かれた組織風土が成功につながっています。

 

3.効果的な仕組み作り:

単にアイデアを募集するだけでは不十分です。LEGOのように顧客を巻き込む工夫や、GEのようにアイデアを広く収集し審査する仕組みを整備することが大切です。また、P&Gが実践したように、有望なアイデアや技術を積極的に買い取る用意もあることが重要です。

 

4.オープンイノベーションへの継続的な取り組み:

 オープンイノベーションは、一過性の取り組みでは実りの少ないものです。P&G20年近くにわたり「Connect + Develop」を推進し続けてきたように、長期的な視点と地道な努力の積み重ねが何より大切なのです。

 

オープンイノベーションへの本気度、組織風土の改革、仕組み作り、そして継続的な取り組みといった点で、これら企業は模範例と言えるでしょう。オープンイノベーションに本気で取り組むことで、大きなイノベーションと事業成果を生み出してきたのです。

 

もちろん障壁もあります。外部との連携では情報漏洩などのリスクもあり、オープンイノベーションに馴染みがない企業は戸惑うかもしれません。

 

 

Tokkyo.ai open innovation マーケットプレイスは安全にオープンイノベーションに挑戦することができる環境を整えており、日本にオープンイノベーションを浸透させる先進的なプラットフォームです。

 

社会課題を恐れずに前向きにビジネスチャンスと捉え、勇気を持ってオープンイノベーションに挑戦する。そこから企業の新たな成長と、より良い社会の実現が見えてくるはずです。

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